名工・谷藤福太郎
日本の西洋剃刀の名工・谷藤福太郎作「Maxfli Gold」。赤スケルトンのスケールがカッコイいですね。
しかーし!よく見ると…刃先が極端に研ぎ減っています。刃背もかなり減っています。
研ぎ減った刃先は薄くなり欠けてしまっています。
おそらく前オーナーが「8の字研ぎ」をしていた為ではないかと思います。砥石に対して剃刀で8(∞)を書くように研ぐやり方なのですが、昔の日本の職人さんがよくやっていました。上手に研がないと結構こうなります。
西洋剃刀を矯正
まともに研ぐと砥石に刃が当たらないので、一度ダイヤモンド砥石で刃を潰します…。
続いて鎬の厚みを出来る限り揃えます。ドレメルで大胆に削り、丁寧に仕上げます。
削って、砥石に当ててを何度も繰り返します。鎬が整っていないと刃は整ってくれません。でも、追い込み過ぎると刃角度が鋭角になり過ぎて肌当たり、刃欠けに問題が出てしまうので慎重に。
かなり整いました。研ぎ減らされた場所に合わせて厚みを削り、丸みも出来るだけ合わせました。
なるべく砥石に当たる部分が均等に真っ直ぐになる様に心掛けましたが、難しいですね。
鎬、刃線共にきれいには揃ってくれませんでした。
それでも良く剃れる、シンプルできれいな谷藤レザーとして仕上がりました。
シンプル故の難しさ
両刃で刃が薄い西洋剃刀。左右対称で無駄の無いデザイン故に矯正、レストアは難しいです。日本剃刀の場合は本体表面を漉き直す事で刃線、鎬線を整える事が容易ですが、薄い両刃の場合、左右で矯正具合が違うと刃線が波を打ち全く整いません。見た目をある程度犠牲にして、使える刃を作る事を優先するしか無い様です。
剃刀以外の研ぎからヒントを貰い、更にきれいに矯正出来るようにしたいと思います。