だもんで、だで、だがや。

名古屋市天白区の理髪店【タンデム】店主雑記

西洋剃刀のレストアをしました。その1

最近、イギリスの1800年代半ばから1900年代初頭までのストレートレザーについて勉強しています。

特に世界3大刃物産地の1つシェフィールド産の剃刀、その中でもコンケーブが無い、ウェッジと呼ばれる刃の厚いタイプとの出会いは自分にとって大きな出来事でした。

 

さて、こちらは「John Marsh」銘の剃刀。色々調べていくとビクトリア女王の治世の剃刀で、更に作者の活動していた時期を調べると1837年から1858年までの間に作られた剃刀だと推測出来ました。

こんなにも昔の剃刀にまつわる情報が残っている事に驚きですが、海外のシェービング関連フォーラムでは様々な情報が活発にやり取りされています。

さすがに当時そのままの状態ではなく、レストアが施されています。スケールもプラ製の汎用品に交換されています。刃線が曲線なので日本では円線刃とか呼ばれていますが、海外ではスマイリングエッジと呼ばれています。なんだかいい響きですね。
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スケールを取り外すためにヒンジピンを、手で回すドリルでグリグリします。
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真鍮ワッシャーが取り付けられていました。本来はピンも真鍮ですが、ワッシャーに関しては取り付けない派の人もいるようです。かなり錆を削ったのでしょう、刻印が判別出来ないほどまで削られています。
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7/8インチという大ぶりなブレードは重量があり、迫力もあります。ナイフのようです。ブレードもグラインダーがかけられていて、本来の姿よりもややコンケーブが入っているようです。
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反対側です。これが本来の姿でしょうか。深い錆が背側を覆っています。これが170年の歴史とでも言うのでしょうか。今回はこの錆を取り除いて反対側の状態に近づける作業をしたいと思います。
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削り過ぎると肝心の刃線が乱れてしまいます。果たして左右揃えつつ、170年の歴史を程よく残しながら作業を終える事が出来るのでしょうか。

 

続きます。