だもんで、だで、だがや。

名古屋市天白区の理髪店【タンデム】店主雑記

水牛の角で西洋剃刀のスケールを作りました。その1

古いイギリスのストレートレザーのボロい物を買うと、スケールが割れていたりするので水牛の角で作ることにしました。

この類の物は海外のシェービング屋さんが充実しているので輸入しました。
f:id:tandem_hair:20190109095428j:image

 

さて、届いてみると反り返っていました。水に浸けてから砥石を重しにして反りを直しました。
f:id:tandem_hair:20190109095503j:image

 

ちょうどレストア中の7/8インチのストレートレザーがあったのでプラ板で型をとりました。この型を角に貼って、再度型取りして鋸などを使って切り抜きます。
f:id:tandem_hair:20190109095539j:image

 

左右を両面テープで貼り合わせて、バイスを使って反りを直します。その後、外周を削って揃え、厚みを削っていきます。
f:id:tandem_hair:20190109095613j:image

 

模様がいい感じにアクセントになりました。削りたては白くなっていますが、耐水ペーパーで仕上げていくと、どんどん艶が出てきます。
f:id:tandem_hair:20190109095657j:image

 

スペーサーも水牛角の端材から削り出します。この厚みによって剃刀本体の収まり具合を調整します。あまり厚みがあると深く剃刀が入り過ぎて、スケールの反対側から刃が「こんにちは」する事もあるので調整します。
f:id:tandem_hair:20190109095804j:image

 

とりあえず、ここまで。鹿角に比べると加工しやすいので楽ちんです。

その2に続きます。

鹿の角で西洋剃刀のスケールを作りました。

鹿の角を貰って来てストレートレザーのスケールを作ってみる事にしました。

当たり前ですが工作用にちょうど良く真っすぐになっている事はなく、この曲がりが後に問題になります。
f:id:tandem_hair:20190109094630j:image

 

だいたいの長さを鋸で切って、電動ハンドツールの鋸を使って2つに割りました。もう、この時点でギブアップしそうな気分です。思っていたよりも硬く、割ってみると髄の部分が現れました。
f:id:tandem_hair:20190109094712j:image

 

それっぽい形に電動工具を使って削りました。一度水に浸けて柔らかくしてからバイスで挟んで、なるべく反りを修正しようと試みます。
f:id:tandem_hair:20190109094823j:image

 

挟んだ角を良く見ると当然ですが左右で厚みが違います。外面を削って、更に内面の髄を削って形を左右均等にしなくてはいけません。
f:id:tandem_hair:20190109094850j:image

 

その結果、片面は「焼きちくわ」。
f:id:tandem_hair:20190109094934j:image

 

もう片面は「生ちくわ」となりました。
f:id:tandem_hair:20190109095111j:image

 

実際に鹿の角を削ってみると凄く加工がしにくい。削るには硬く、場所によって硬さが違い、曲がっていて、中に髄があるので削るのにも限界があります。そして、結果として「焼き」と「生」が出来上がりました。

もう少し、想像力があれば切り出す場所を慎重に選ぶ事が出来たのでしょうが、正直2度とやりたくありません。

 

さて、鹿の角の色が付いた部分、ここでは「焼き」の部分と表現しますが、アレって洗うと薄くなっていくって知ってました?ゴシゴシ擦ると角が白くなっていくので汚れているんですね。風呂とか入ってないですもんね。

あまりにも色が薄くなって味気ないので仕事で使うヘナで染めてみました。「焼き」が更に濃くなって美味しそうです。焼きちくわの細い部分が黒いのは、削ったら髄が出てきてしまいました。コゲちくわです。
f:id:tandem_hair:20190109095150j:image

 

角って爪と同じで濡れると水分を含みます。最後に透明塗料で防水コーティングして仕上げました。

f:id:tandem_hair:20190116151405j:image

 

鹿角スケールが似合いそうなストレートレザーがあれば、ピンを打って合わせてみようかと思います。

 

疲れました。

西洋剃刀のレストアをしました。その2

さて、170年ほど前のシェフィールド産ストレートレザー「John Marsh」。

刃を傷つけないようにテープを貼って、大まかに耐水紙やすりで錆を落としてみました。やはり、深い錆のスポットがブレードに点在しています。個人的にはこの状態の方がピカピカよりは好きなのですが、反対側がグラインダーでピカピカに仕上げられているのである程度合わせないといけません。
f:id:tandem_hair:20190109094007j:image

 

アルミナ、ダイヤモンドペースト、スコッチブライト、耐水紙やすりを使ってひたすら磨いていきます。半泣きです。
f:id:tandem_hair:20190109094131j:image

 

そもそもが刃物にするような鋼材。手で削るには硬すぎてコレが限界。
f:id:tandem_hair:20190109094254j:image

 

裏側。グラインダー、恐るべし。
f:id:tandem_hair:20190109094332j:image

 

ドレメルのハンドツールを使って慎重に表面を均しました。回転砥石、スコッチブライトを使って境界線をボカシていきます。
f:id:tandem_hair:20190109094407j:image

 

最終的に耐水紙やすりで仕上げてなんとかコレ。途中から「こちらを綺麗にするよりも反対側を荒らした方が速いのでないか。」とさえ考える程にタフな作業でした。
f:id:tandem_hair:20190109094434j:image

 

それなりに仕上がりましたが、電動工具を使いこなせないと苦労しますね。でも、せっかく歴史のあるものですから慎重に作業したいし…。

綺麗にはなりましたが綺麗すぎると何だか寂しい感じもしますね。今後はこの剃刀に合うスケールを作りたいと思います。

西洋剃刀のレストアをしました。その1

最近、イギリスの1800年代半ばから1900年代初頭までのストレートレザーについて勉強しています。

特に世界3大刃物産地の1つシェフィールド産の剃刀、その中でもコンケーブが無い、ウェッジと呼ばれる刃の厚いタイプとの出会いは自分にとって大きな出来事でした。

 

さて、こちらは「John Marsh」銘の剃刀。色々調べていくとビクトリア女王の治世の剃刀で、更に作者の活動していた時期を調べると1837年から1858年までの間に作られた剃刀だと推測出来ました。

こんなにも昔の剃刀にまつわる情報が残っている事に驚きですが、海外のシェービング関連フォーラムでは様々な情報が活発にやり取りされています。

さすがに当時そのままの状態ではなく、レストアが施されています。スケールもプラ製の汎用品に交換されています。刃線が曲線なので日本では円線刃とか呼ばれていますが、海外ではスマイリングエッジと呼ばれています。なんだかいい響きですね。
f:id:tandem_hair:20190109093522j:image

 

スケールを取り外すためにヒンジピンを、手で回すドリルでグリグリします。
f:id:tandem_hair:20190109093602j:image

 

真鍮ワッシャーが取り付けられていました。本来はピンも真鍮ですが、ワッシャーに関しては取り付けない派の人もいるようです。かなり錆を削ったのでしょう、刻印が判別出来ないほどまで削られています。
f:id:tandem_hair:20190109093704j:image

 

7/8インチという大ぶりなブレードは重量があり、迫力もあります。ナイフのようです。ブレードもグラインダーがかけられていて、本来の姿よりもややコンケーブが入っているようです。
f:id:tandem_hair:20190109093745j:image

 

反対側です。これが本来の姿でしょうか。深い錆が背側を覆っています。これが170年の歴史とでも言うのでしょうか。今回はこの錆を取り除いて反対側の状態に近づける作業をしたいと思います。
f:id:tandem_hair:20190109093835j:image

 

削り過ぎると肝心の刃線が乱れてしまいます。果たして左右揃えつつ、170年の歴史を程よく残しながら作業を終える事が出来るのでしょうか。

 

続きます。

年末年始の僕

なかなかブログを書くという行為を優先的に進める事が出来ないので放置してましたが、元気にしています。

 

ざっと、年末年始の出来事を記します。

その後、個別に記事にします。

 

まず、自営業とりわけ散髪屋である自分には12月は書き入れ時でして、おかげさまで忙しく過ごす事が出来ました。

そんな中、少しでも時間がある時は趣味の古い剃刀のレストア作業をしました。f:id:tandem_hair:20190108111715j:image

鹿の角、水牛の角を加工して剃刀のスケールも作りました。

f:id:tandem_hair:20190108111953j:imagef:id:tandem_hair:20190108112033j:image

 

プジョーのヴォーグというボロいモペッドのカスタム計画が始動しました。f:id:tandem_hair:20190108112254j:image

 

年始には正月休みを利用して銭湯に出掛けました。

f:id:tandem_hair:20190108113029j:image

 

モペッドエンジン組み立てに失敗してバイク屋さんに泣きつきました。f:id:tandem_hair:20190108112627j:image

 

今池で新年会をしました。f:id:tandem_hair:20190108112706j:image

 

と、まあ余計な事ばかりして楽しく過ごしています。

 

木桶を買いました。

今、あえて木桶。「木桶の栗田」

銭湯に持って行く湯桶を「木桶の栗田」さんに作ってもらいました。

名古屋在住の木桶専門の職人さんです。出来上がったという事で工房へ取りに伺いました。

 

木桶、木桶の材料、木桶作りの道具などあらゆる木桶関連の物に囲まれて、栗田さんは当日も木桶を作っていました。
f:id:tandem_hair:20181128170032j:image

 

出来上がった木桶がいくつか有り、「好きなものをどうぞ。」という事でしたので「では、今、仕上げているものを。」とリクエストして暫し完成までお話を聞かせてもらいました。
f:id:tandem_hair:20181128170059j:image

 

壁に並ぶ道具類に話が及び、興味深いお話も聞かせてもらえました。木桶の作り方、扱い方などを気さくに教えてもらえました。
f:id:tandem_hair:20181128170118j:image

 

学生さんとのコラボ作品、百貨店での催事など精力的に活躍しているご様子でした。真面目で桶一筋ではあるものの、変化を求める柔軟性もお持ちな事に頭が下がる思いでした。

 

桶の材料は高野槙。腐りにくく、変色も少ないのでお勧めしてもらいました。大きさは7寸半。お湯を汲んでも重過ぎず、手拭いも濯ぎやすいサイズで標準だそうです。
f:id:tandem_hair:20181128170135j:image

 

木目が美しい。
f:id:tandem_hair:20181128170151j:image

 

タガもひとつひとつの桶に合わせて作るそう。
f:id:tandem_hair:20181128170210j:image

 

鼻を近づけると天然木の良い香りがします。お湯を汲むともっと香りが立つそうです。

 

それではさっそく銭湯にでも...と思いましたが、そちらはお預け。また、今度。

自転車を天井から吊るしました。

吊り下げ収納という選択

お店の天井から自転車を吊るして自転車置き場にしています。

以前は700cのホイールに細いタイヤを履かせた自転車に乗っていたのですが、最近自転車を乗り換えて太めのタイヤを履いたマウンテンバイクになりました。

そうしたら吊り下げフックにタイヤがはまらなくなったのでフックを作り替える事にしました。

 

アンカーと呼ばれるモノを切って、炙って、曲げる。


f:id:tandem_hair:20181012084540j:image

 ホームセンターへ行って200円くらいで巨大なネジ棒のようなモノを購入。確か、アンカーとかなんとか書いてあったような。見た目は同じでもいろいろな種類があるので注意。太さとかネジのピッチとかが違いました。

 

こいつを半分に切断します。ちょっと気合がいる作業なので余裕がなくて写真が有りません。で、半分に切ったものをフックの形に曲げなければいけません。

そのままでは曲がらないのでBBQの時に使うトーチで炙って、金槌やら何やらで力任せにぶん殴ります。ある程度曲がったら火炙りにしては、地面にグイグイ押し付けて曲げました。あまり完成度を求めて綺麗に曲げ過ぎるとタイヤが入らなくなり本末転倒になるので注意です。

 

天井にぶっ刺す。そして養生。


f:id:tandem_hair:20181012084604j:image

 天井裏には角材が渡してあり、フックを貫通させてボルトで固定する仕組みです。

これが思ったより天井裏は作業がしにくく、初めに作ってくれた大工さんの苦労が判りました。

 

そのままタイヤを引っかけるとホイールが傷だらけになるので、その辺にあった隙間テープを巻いて両端を熱収縮チューブで処理しました。本当は全体を熱収縮チューブで覆いたかったのですが、太さが合わなくて入りませんでした。

 

完成。それは目潰し装置。


f:id:tandem_hair:20181012084622j:image

無事に自転車を吊り下げる事が出来ました。

しかし、高さとハンドルの形状が絶妙で巨大な目潰し装置となりました。